高いプライドが災いして損をすることもあるが何でも器用にこなす利発な「栄二」と、要領は悪いがどこまでも真っ直ぐで、優しい心の持ち主の「さぶ」。対照的なふたりではあったが、「いつかふたりで店を持とう」と同じ奉公先で友情を育んでいた。

そんなふたりも年頃の青年になり、恋をする。栄二は出入りしている先の中働きの「おすえ」に、さぶは行きつけの小料理屋で働くしっかり者の「おのぶ」に、それぞれ想いを寄せていた。

そんななか、とある窃盗事件の濡れぎぬを着せられ、奉公先を追われた栄二。あまりの理不尽に腐り、自暴自棄になる栄二を、さぶは根気良く励まし、支える。また、ふたりの女も同様だった。気風も面倒見もよいおのぶは叶わぬ想いを胸に、おすえは決して明かすことのできない秘密を隠し持ち、栄二を支え続けた。

ラストで明かされる真実に、女たちの強い愛が浮き彫りにされる。
知花 くらら
1982年生まれ。沖縄県出身。多数の女性ファッション誌でモデルを務めるほか、TV・ラジオ・CMに多数出演。NHK大河ドラマ「花燃ゆ」で女優デビュー。

現在はJFN「企業の遺伝子」でMCを務め、集英社「Marisol」、プラネットライツ「男の隠れ家」ではエッセイを連載中。2017年には第63回角川短歌賞の佳作に入選。歌人・永田和宏氏との共著「あなたと短歌」を刊行するなど、幅広い分野で活動中。2012年からは祖父の故郷である沖縄・慶留間島に福島の親子を招く保養キャンプ「げるまキャンプ」を主催し、今年で7回目の開催となる。

また、国連WFP日本大使としてアフリカやアジアなど食糧難の地域への現地視察を行い、日本国内で積極的に現地の声を伝える活動を行っている。
深川 麻衣
1991年、静岡県生まれ。「乃木坂46」の初期メンバーとして数多くのヒット作と共に活動し、同グループを牽引する存在に。「乃木坂の聖母」の愛称で老若男女に親しまれ、「国民的人気グループ 乃木坂46」の礎を築いた。

人気絶頂の中、俳優業に専念するべく2016年に同グループを卒業。

同年、テレビドラマ「プリンセスメゾン」(NHKBS)に出演し、2017年には北村薫原作の舞台「SKIP」で主演を務め、本格派女優として注目を集める。現在、ブライダルジュエリーブランド「アイプリモ」の新CMに出演し好評を博している。2018年2月公開の主演映画「パンとバスと2度目のハツコイ」や2018年4月公演舞台「ふじ子の恋」は大きな話題を呼んでいる。
笹部 博司(作・演出)
脚本家・演出家・演劇プロデューサー。

1977年に演劇・戯曲を専門とする出版社「劇書房」を設立。海外のベストプレイシリーズ、寺山修司戯曲集などを出版する。次第に、自社で出版した作品を制作し上演するようになり、1990年に演劇製作会社「メジャーリーグ」を設立。主な作品に、大竹しのぶ「奇跡の人」、武田真治(初演)・藤原竜也(再演)「身毒丸」、麻美れい「メアリー・ステュアート」、蜷川幸雄演出「グリークス」、白石加代子「百物語」シリーズなど。

新潟市民芸術文化会館の演劇部門芸術監督として、2013年よりリーディング企画“物語の女たちシリーズ“をスタートさせ、十朱幸代「燃えよ剣」、奈良岡朋子「黒い雨」、岸恵子「蝉しぐれ」、松坂慶子「私のエディット」など、すべての上演台本を手掛ける。他にリーディング企画としては、井上芳雄による「夜と霧」で上演台本のほか演出も担う。2016年より”りゅーとぴあプロデュース”による演劇作品創作をスタートさせ、第1弾となる白石加代子主演「エレクトラ」を上演した。2017年10,11月に“物語の女たちシリーズ”の第12弾「大石内蔵助の妻 りく」の上演台本・演出を手掛ける。
STAFF
作・演出 笹部 博司
音楽 佐藤 昌
舞台監督 松本 仁志
照明 中島 一(ライズワン)
音響 権藤 まどか(STAGE SOUND)
宣伝美術 渡辺 浩光
制作 玉田 由香里 / 矢野 平祐
制作プロデューサー 谷渕 寿江
企画・制作協力 スタジオ オーデュボン
企画 狩野 直人
製作 小林 栄太朗
主催 テンカラット